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個別就労支援(IPS)とは?8つの原則と日本での支援先をわかりやすく解説
2026.07.07
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#個別就労支援

■個別就労支援(IPS)とは

個別就労支援(IPS:Individual Placement and Support)は、精神障害のある人の一般就労を支援するために、アメリカで開発された就労支援モデルです。

訓練を積み重ねてから就職を目指す従来の方法とは異なり、「働きたい」という本人の希望を出発点に、できるだけ早く一般企業への就職を目指し、就職後も途切れることなく支援を続けます。

複数の研究でその効果が確認されてきたことから、現在は欧米を中心に広く実践されており、日本でも医療機関や障害福祉サービス事業所の一部で導入が進んでいます。

本記事では、公的機関や研究機関が公開している情報をもとに、IPSの基本的な考え方と仕組みを整理して解説します。
 

■個別就労支援(IPS)の特徴

IPSは「Individual Placement and Support」の略で、日本語では「個別就労支援」と訳されます。精神障害のある人を主な対象とし、一般企業への就職と職場定着を支援することを目的としたモデルです。

最大の特徴は、「まず就職し、その後に必要な支援を行う」という発想にあります。訓練を経てから就職するという従来の順序を逆転させた点が、IPSの核となる考え方です。

就職先を決めるのは支援者ではなく本人です。興味や希望、これまでの経験をもとに、本人が主体となって職場を選んでいきます。

なお、IPSは障害福祉サービスの制度名ではなく、就労支援の方法論・支援モデルとして位置づけられています。就労移行支援などの既存制度そのものとは異なる点にご注意ください。

個別就労支援(IPS)の8つの基本原則

IPSは、次の8つの原則に基づいて実践されます。

① 働きたいと希望する人を対象とする
IPSは「働く意思のある人」を対象とし、本人の希望を前提に支援が始まります。

② 一般就労を目標とする
福祉的就労ではなく、一般企業での就労を目指すことが基本です。

③ 本人の希望に基づいて仕事を探す
支援者が就職先を決めるのではなく、本人の興味や希望、これまでの経験を踏まえて職場を探します。

④ 早期に就職活動を開始する
十分な準備期間を設けるのではなく、必要なサポートを受けながら早い段階から就職活動を進めます。

⑤ 就職活動と支援を同時に行う
働くための訓練と就職活動を切り離さず、並行して進めるのがIPSのやり方です。

⑥ 医療と就労支援を一体的に行う
治療や生活支援と就労支援を分断せず、連携させながら生活全体を支えます。

⑦ 就職後も継続して支援する
就職はゴールではなく、働き始めてからも職場での課題や不安に対するサポートが続きます。

⑧ 支援期間を限定しない
必要があれば、期間を区切らずに長期的な支援を受けられる仕組みになっています。
 

■なぜ「先に就職」なのか

IPSの根底にあるのは、「働くことは回復や生活の一部である」という考え方です。
一般的な就労支援では、症状の安定や生活リズムの確立を経てから就職を目指す順序がとられることが少なくありません。
これに対しIPSは、働くこと自体が生活の安定や回復を後押しするという立場をとります。
準備が整うのを待つのではなく、早期に実際の職場に身を置きながら、必要な支援を並行して受けていく発想です。

本人の意思を中心に据えるため、画一的な訓練プログラムは存在しません。一人ひとりの希望や状況に応じて、支援の内容もペースも柔軟に調整されます。
 

■日本におけるIPSの提供状況

アメリカでは、多職種のケースマネジメントチームを配置した地域精神保健センターが、IPSの実施主体となっています。
日本にはこれに相当する機関がないため、国立精神・神経医療研究センターの調査によれば、IPS型の支援は精神科病院の外来やデイケア、または障害者総合支援法上の就労移行支援事業所などを通じて行われているのが実情です。

また、日本の制度上、医療機関や福祉事業所の就労支援員は企業に働きかけて職場を開拓することはできても、認可を受けた機関以外が職業紹介そのものを行うことはできません。
この違いを踏まえ、日本の実践者と研究者は、アメリカ版のフィデリティ尺度を土台としながら日本の制度に合わせて調整した独自の評価指標「JiSEF」を開発し、支援の質を継続的に検証する取り組みを続けています。

IPSを実践している医療機関・事業所の一覧は、NPO法人日本IPS支援協会(JIPSA)のウェブサイトで公開されており、地域ごとの実践機関を確認できます。
利用を検討する場合は、まず主治医や相談支援専門員に、IPSに準じた支援を行っている機関が近隣にあるかを尋ねてみてください。
 

■まとめ

個別就労支援(IPS)は、精神障害のある人の一般就労と職場定着を支援するために生まれた就労支援モデルです。

本人の希望を出発点に、早期の就職活動と就職後の継続支援を一体的に行い、8つの基本原則のもと、医療機関や支援機関と連携しながら一人ひとりに合わせた支援を実践します。

制度ではなく支援モデルであるIPSは、日本の医療・福祉制度に合わせた形で、実践する機関が少しずつ広がっています。JIPSAの機関一覧や、通院先・地域の相談窓口を通じて、実際の支援内容を確認することができます。

【参考文献】
●日本IPS支援協会(JIPSA)「IPSについて」
https://jipsa.jp/ips/ips

●国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「IPS/日本版個別型援助付き雇用フィデリティ調査」
https://www.ncnp.go.jp/nimh/chiiki/research/05.html

●日本IPS支援協会(JIPSA)「全国のIPSチーム」
https://jipsa.jp/practitioner

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