就労移行支援と職業訓練(ハロートレーニング)の違いとは?対象者・支援内容・選び方を解説
2026.08.27
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- ハンズ加古川
■はじめに
ハンズの見学にいらっしゃった方から、「就労移行支援と職業訓練は何が違うんですか?」と聞かれることがあります。就労移行支援と職業訓練はどちらも就職に向けて知識やスキルを身につけられる制度です。似たような制度のため、どちらを利用すればよいのかわからないと感じる方も多いようです。
しかし両者には、対象者や利用期間、支援の内容などに違いがあります。
この記事では、就労移行支援と職業訓練の違いを、様々な観点から比較しながら解説します。
■就労移行支援とは
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。一般企業への就職を目指す、原則として65歳未満の障害や難病のある方を対象に、就職に必要な知識やスキルを身につけるための訓練や、就職活動の支援などを行います。
障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書などにより利用できる場合があります。実際に利用できるかどうかは、住んでいる自治体が本人の状況などを踏まえて判断します。
利用期間は原則2年間です。通所の頻度は、体調や現在の生活リズム、就職に向けた目標などに応じて、事業所と相談しながら調整できます。
利用料金は、本人と配偶者の所得などによって決まるため、所得状況によっては自己負担なく利用できる場合もあります。
就労移行支援では、パソコンやビジネスマナーといった仕事に必要なスキルを身につける訓練だけでなく、次のような支援も受けることができます。
・生活リズムや体調についての相談
・自分の障害特性や得意・不得意を一緒に整理する
・コミュニケーションやストレスの対処法についての訓練
・職場見学や企業実習
・応募書類の作成や面接練習
・就職後の職場定着に向けた相談
■職業訓練(ハロートレーニング)とは
職業訓練は、就職やスキルアップに必要な知識や技能を身につけるための公的な制度です。「ハロートレーニング」とも呼ばれ、国や都道府県などが実施しています。求職者向けの職業訓練は、大きく次の2種類に分けられます。
① 公共職業訓練
主に雇用保険を受給している求職者を対象とした訓練です。
② 求職者支援訓練
主に雇用保険を受給できない求職者を対象とした訓練です。
訓練内容には、事務、パソコン、Webデザイン、プログラミング、介護、製造など、さまざまなコースがあります。特定の職種に必要な知識や技能を、決められたカリキュラムに沿って集中的に学ぶことが中心です。
受講料は原則無料ですが、テキスト代や資格試験の受験料などは自己負担となる場合があります。また、一定の要件を満たす場合は、雇用保険の給付や職業訓練受講給付金などを受けながら訓練を受講できることがあります。
訓練期間はコースによって異なり、数か月程度のものから2年程度のものまであります。平日の決められた時間に通うコースが多く、修了するためには一定の出席率が必要です。
利用を希望する場合は、ハローワークで求職の申し込みや職業相談を行います。コースによっては、筆記試験や面接などの選考があり、申し込んだからといって必ず受講できるわけではありません。
■就労移行支援と職業訓練の違い
就労移行支援と職業訓練の主な違いを整理すると、次のようになります。| 項目 | 就労移行支援 | 職業訓練 |
| 制度 | 障害福祉サービス | 公的な職業訓練制度 |
| 主な対象者 | 障害や難病のある方 | 求職者全般 |
| 主な目的 | 就職に向けた準備から職場定着までを支援する | 希望する職種に必要な知識や技能を習得する |
| 支援内容 | 体調管理、自己理解、職業訓練、 就職活動など |
特定の職種に関する講義や実習など |
| 障害への配慮 | 個別の状況に応じた支援を受けられる | 障害者向けコースを除き、個別の配慮は限定的 |
| 通所頻度 | 体調や目標に応じて相談できる | 決められた日程での受講が基本 |
| 利用期間 | 原則2年間 | コースによって異なる |
| 費用 | 所得に応じて決まる | 受講料は原則無料。テキスト代などは自己負担 |
| 申し込み先 | 自治体の障害福祉担当窓口 | ハローワーク |
| 就職後の支援 | 職場定着に向けた支援がある | ハローワークなどの就職支援はあるが、継続的な個別支援は限定的 |
対象者の面で最も大きな違いは、就労移行支援が障害や難病のある方を対象とした福祉サービスであるのに対し、職業訓練は障害の有無を問わず、求職者全般を対象にしている点です。
職業訓練にも障害のある方向けのコースが用意されていますが、制度そのものが障害のある方だけを対象にしているわけではありません。
支援の内容を見てみると、就労移行支援では仕事に必要なスキルだけでなく、体調管理や自己理解、就職活動、就職後の職場定着まで含めた個別の支援を受けられます。
一方、職業訓練は、希望する職種がある程度決まっている方が、その職種に必要な専門的な知識や技能を集中的に学ぶことを主な目的としています。
■就労移行支援と職業訓練、どちらを選ぶべきか?
どちらを選ぶべきかは、障害の有無だけでなく、現在の体調や、就職に向けて何を必要としているかによって異なります。就労移行支援は、次のような方に向いていると考えられます。
・体調や生活リズムを整えるところから始めたい
・自分の障害特性や適性について整理したい
・自分に合った働き方や職場環境を考えたい
・応募書類や面接について個別に相談したい
・就職後も職場定着に向けた支援を受けたい
一方、職業訓練は、次のような方に向いていると考えられます。
・希望する職種や学びたい分野が決まっている
・専門的な知識や資格を短期間で身につけたい
・決められた日程に沿って継続して通える
・障害や体調について、個別の支援をあまり必要としていない
どちらか一方が優れているというわけではありません。今の自分に必要なのが「働くための準備を幅広く整えること」なのか、「特定の仕事に必要な技能を身につけること」なのかを考えることが、選ぶ際の一つの目安になります。
■就労移行支援と職業訓練は併用できる?
就労移行支援と職業訓練は、通所する曜日や時間が重なりやすく、それぞれに利用や出席についての要件があるため、原則同じ期間に利用することは難しいと考えられます。ただし、実際に利用できるかの判断は、職業訓練の種類や本人の状況、自治体やハローワークの判断によって異なる可能性があります。
併用や、就労移行支援を利用した後に職業訓練を受けることを検討している場合は、自治体の障害福祉担当窓口とハローワークの両方に確認しましょう。
■まとめ
就労移行支援と職業訓練は、どちらも就職に向けて知識やスキルを身につけられる制度ですが、対象者や目的、受けられる支援の範囲が異なります。就労移行支援は、障害や難病のある方を対象に、体調管理や自己理解、職業訓練、就職活動、就職後の職場定着まで、一人ひとりの状況に応じた支援を行う福祉サービスです。
一方、職業訓練は、障害の有無を問わない求職者を対象に、希望する職種に必要な知識や技能を、決められたカリキュラムに沿って身につける公的な制度です。
どちらが自分に合っているか迷う場合は、ハローワークへの相談や就労移行支援事業所の見学などを通じて、実際の訓練内容や通い方の違いを確認してみることをおすすめします。
ハンズ加古川