発達障害とパーソナルスペース|職場で意識したい距離感と工夫
2026.09.05
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■はじめに
パーソナルスペースとは、他人に近づかれると落ち着かない、不快に感じることがある範囲のことです。
発達障害のある人の中には、この距離感をうまくつかめず、仕事の場面で困ることがあります。近づきすぎて相手を驚かせてしまうこともあれば、反対に人に近づかれると落ち着かず、仕事に集中できなくなることもあります。
この記事では、職場で起こりやすい場面を中心に、パーソナルスペースを意識するための工夫を紹介します。
■パーソナルスペースとは
はじめにでも触れましたが、パーソナルスペースとは、他人に近づかれると落ち着かなかったり、不快に感じたりする範囲のことです。相手との関係や場所の広さなど、そのときの状況によっても心地よい距離は変わります。人との距離感は、相手の表情や声の大きさや周囲の様子など、さまざまな情報をもとに判断されます。発達障害のある人の中には、こうした暗黙のサインを読み取りにくく、距離感を感覚的につかみにくい人がいます。
そのため、「近づきすぎている」ことに気づかないまま話しかけてしまったり、相手が少し後ろに下がったことの意味を判断しにくかったりすることがあります。
一方で、感覚の敏感さから、人が近くに立つことや背後を通られることが気になり、仕事に集中しにくくなる人もいます。距離感の困りごとは、「自分が近づきすぎてしまう」場合と、「人に近づかれることがつらい」場合の、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。
パーソナルスペースの基本的な種類や距離の目安については、こちらの記事でも紹介しています。
■職場で近づきすぎてしまいやすい場面
職場には、人との距離が近くなりやすい場面がいくつもあります。目安として、職場の上司や同僚とは、体には触れないものの会話はしやすい社会距離(120cm〜350cm程度、腕を伸ばしても相手に届かないくらいの距離)を意識すると、近づきすぎを防ぎやすくなります。
① 質問や報告をするとき
相手に聞きたいことがあると、話したい内容に意識がいってしまい、相手に近づきすぎてしまうことがあります。特に相手がパソコン作業中に、後ろや横から急にのぞき込むと、驚かせたり集中を途切れさせたりすることがあります。
質問したいときは、相手の顔が見える正面か斜め前の位置から、「今、お時間よろしいでしょうか」と声をかけましょう。相手が手を止めてこちらを向いたら、社会距離を保って話を始めます。
② 資料や画面を確認するとき
画面や書類を一緒に見るために相手と距離を近づける必要がある場面もあります。
この場合、社会距離を保つのは難しいですが、黙って近づくのではなく、「一緒に画面を見せていただいてもよろしいですか」と一言添えましょう。そのうえで、画面を見るために必要な範囲だけ近づき、必要以上に体を寄せないようにします。
③ 通路や共有スペースを使うとき
コピー機や給湯室などでは、人のすぐ後ろに立って待ったり、狭い隙間を無言で通ったりすると、相手に近いと感じさせることがあります。少し距離を取り、近くを通る必要があるときは「後ろを通ります」と声をかけましょう。
■人に近づかれることがつらいときの工夫
人との距離感の悩みは、自分が近づきすぎてしまう場合だけではありません。人が近くにいること自体が負担になる場合もあります。背後を人が通ると驚きやすい場合は、壁を背にできる席や、背後を人が通ることの少ない席に変更できないか相談してみましょう。
隣の席との距離が近いと集中しにくい人は、パーティションのある席や、一つ席を空けて座れる配置がないか確認してみるとよいでしょう。
休憩中も周囲に人が多いと疲れやすい人は、休憩時間だけでも人の少ない場所で過ごすようにすると、負担を減らすことができます。
■振り返りと相談
ここまでは、近づきすぎてしまう場合と、近づかれることがつらい場合、それぞれの工夫を見てきました。ここからは、実際に「距離が近い」と指摘を受けたときの受け止め方について整理します。
職場で「距離が近い」と指摘を受けた場合、何がいけなかったのか分からず戸惑ったりすることもあるかもしれません。
そんな時は、その指摘は人格を否定するものではなく、仕事をしやすくするための情報として考えると楽になるかもしれません。
「近い」と言われたときは、どの場面で近いと感じさせたのか、話す位置・立つ位置・声をかけるタイミングのどれを変えればよいかを確認してみましょう。一度でうまくできなくても、振り返りながら少しずつ調整していけば大丈夫です。
人との距離感は、自分だけでは気づきにくいことも多いものです。信頼できる人に「話す距離が近すぎないか」と聞いてみると、自分では見えなかったことに気づける場合があります。
■まとめ
パーソナルスペースは、人との関係や場面によって変わる、目に見えない距離です。質問や報告の場面で近づきすぎてしまうこともあれば、逆に人に近づかれて仕事に集中できなくなることもあります。声をかけてから近づく、近づく必要がある場面ではできる限り社会距離を意識する、人に近づかれるのがつらいときは席の配置や休憩の取り方を工夫するなど、この記事で紹介した工夫を、自分が困りやすい場面から一つずつ試してみてください。
「距離が近い」と指摘を受けたときは、責められたと捉えず、次に何を変えればいいかを確認する材料にしましょう。人との距離感は、自分だけでは気づきにくいことも多いものです。そのような場合は、信頼できる人に「話す距離が近すぎないか」と聞いてみることから始めてみましょう。
ハンズ加古川