雇用事例Case

N.Tさん・男性・50代の雇用事例 精神障害(高次脳機能障害)

病気の再発後、ご自身に適した就労を目指し幅広い訓練を受講

N.Tさん(男性・50代・サービス業)

業務内容 ルート営業・データ入力
障害名 精神障害(高次脳機能障害)
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、主に脳に損傷を受けることにより引き起こされる記憶障害、注意障害、社会的行動障害などの認知障害といった様々な神経心理的障害のことです。
通所前の症状・状況

脳出血を発症し、長年勤務された営業職を退職する事となりました。その後、営業職以外の経験が無い事から営業職と給与面を重視し就労先を選ばれていましたが、脳梗塞の再発を繰り返し、その度に仕事を転職されていた為、主治医の紹介によりハンズを利用される事となりました。

通所中の状況
これまでの仕事の実績からの過信。自己理解の重要性。

利用開始後は、週5日(終日)通所出来る体力とリズムが整っていて安定していました。また、障害特性よりも収入面重視で、クローズ正社員雇用を中心に就職活動を進めました。訓練は、必要、必要でないものをご自身で選別されていた為、偏った訓練の受け方となっていて、面談の際に何度も障害特性の自己理解について伝えていました。しかし、今までの経験や実績から過信している部分が多く、出来る事だけに注目する傾向が強くありました。

本人の希望と一致せず。関係機関との連携を図り採用を目指す。

半年間のトライアル雇用を経験しましたが、業務の達成度や求められる人材の考え方について、ご本人様と企業側で相違があり、トライアル雇用後の継続には至りませんでした。その後、改めてクローズ求人を中心に応募を繰り返し、状況報告、主治医の見解、ハローワーク登録等をしながら関係機関との連携を図りました。

就業後の様子
就職後の体調管理、定期受診は欠かさずに。再発で入院治療へ。

クローズ就職のリスクを伝え、オープン就職に変更していくよう支援者から促し続けましたが、30件近くのクローズ求人に応募され、その度に不採用通知が届いていました。クローズ求人は諦めようとされていたところ、クローズでの就職が決定し、就職後は休日に合わせて面談に来ていただき、体調面や困っている事はないか等の聞き取りを行いました。就職が決まった喜びから、就労継続の為の努力をされていましたが、就職後1ヶ月半で脳梗塞を再発し、入院治療の為退職となってしまいました。

自己理解を深め、社会復帰を目指す。

退職後、ご本人様から就労移行を再度利用し社会復帰をしたいとの希望があった為、区役所に相談しながら今後の利用方法を話し合いました。今回は障害特性をきちんと理解し、再発しない仕事の選び方、過去の実績にこだわらず自身に適した仕事を模索していく事を前提に意思確認を行いました。ハンズ通所再開後は、体調に合わせながら今まで受講していなかった訓練へも参加し出来る事を増やしていきながら、また、オープン求人での応募、時短勤務の条件等は、主治医と連携を取りながら進めていきました。ハローワークの担当者とも密に情報交換を行い、ご本人様との間に行き違いがないようにしていきました。