睡眠不足は仕事にどれくらい影響するのか?さまざま研究結果から考える睡眠の大切さ
2026.10.18
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■はじめに
「睡眠が大切」ということは、みなさんよくご存知だと思います。
ただ、寝不足でも案外いつもどおりに仕事ができることがあるため、ついつい睡眠時間を削ってしまうことはありませんか?
しかし、ある研究では、自分では「睡眠不足でも大丈夫」と感じていても、実際には注意力などが低下している可能性が示されています。
この記事では、睡眠不足が仕事のミスにどれくらい影響するのか、研究結果をもとに考えていきます。
■睡眠の問題は仕事中のミスやけがに関係する?
2014年、スイスのバーゼル大学などの研究者たちは、睡眠の問題と仕事中のけがとの関係を調べました。
この研究では、過去に行われた27件の調査(合計268,332人)をもとに、睡眠に問題がある人とない人で、仕事中にけがをするリスクにどれくらい違いがあるのかを分析しました。
その結果、睡眠に問題がある人は、問題がない人と比べて、仕事中にけがをするリスクが1.62倍だったことがわかりました。
また、2004年には、アメリカのハーバード大学医学部などの研究者たちが、集中治療室で働く研修医の勤務体制と医療ミスの関係を調べました。
この研究では、24時間以上の連続勤務を含む従来の勤務体制と、長時間の連続勤務をなくして週の勤務時間を減らした体制を比較しました。
その結果、従来の勤務体制では、研修医による重大な医療ミスの発生率が35.9%高くなっていました。
2014年の研究では、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠の質などの問題も含めて調べており、2004年の研究では、睡眠時間だけでなく、勤務時間や連続勤務の有無も異なっています。
そのため、これらの結果は、睡眠不足だけが原因で仕事中のけがやミスが増えたことを示すものではありませんが、睡眠の問題が仕事の安全性に影響すると考えられます。
■睡眠不足による注意力の低下は、自分では気づきにくい?
2003年、アメリカのペンシルベニア大学などの研究者たちは、睡眠不足が続くと、注意力や本人が感じる眠気がどのように変化するのかを調べました。
この研究では、健康な成人35人を対象に、毎晩ベッドで過ごせる時間を4時間、6時間、8時間に分け、14日間にわたって注意力などを測るテストを行いました。
その結果、4時間と6時間のグループでは、日が経つにつれてテストの成績が低下していきました。
特に、6時間以下の睡眠機会が14日間続いた場合、テストの成績低下は、最大で2晩の徹夜に相当する水準に達していました。
さらに興味深いのは、テストの成績が日を追って悪くなっていたにもかかわらず、本人が感じる眠気は、最初に増加した後はあまり変化しなかったことです。
この結果を踏まえると、「睡眠時間を削っても、案外いつもどおりに仕事ができている」と感じていても、実際には仕事に影響が出ている可能性があると考えられます。
■「長く寝るとしんどい」は、本当に寝過ぎが原因?
先ほど紹介した2003年の研究では、睡眠不足によって注意力が低下していても、本人はその変化に十分気づいていない可能性が示されていました。
では、「長く寝ると余計にしんどいから、あまり寝ないようにしている」という方の場合はどうでしょうか。
それについて考えるうえで参考になるのが、「睡眠慣性」と呼ばれる現象です。
睡眠慣性とは、目が覚めた直後に頭がぼんやりしたり、注意力などが一時的に低下したりすることです。
2019年の実験では、睡眠時間が短い生活を続けた人は、十分に寝ていた人と比べて、起きた直後の注意力などを測るテストの成績が約10%低くなっていました。
また、睡眠不足が続いたあとに睡眠を取ると、起きた直後にいつも以上に頭がぼんやりする場合があることも報告されています。
こうした研究結果を踏まえると、「長く寝たからしんどい」と感じたとしても、実は普段の睡眠不足が原因である可能性もあるのです。
■まとめ
今回紹介した研究の中で特に大切なのは、睡眠不足による影響を本人が十分に自覚できていない可能性があるということです。
そのため、「寝不足でも、案外いつもどおりに仕事ができているな」と感じていても、実際には注意力などが低下しているかもしれないので、注意が必要です。
仕事や趣味の時間を確保するために、ついつい睡眠時間を削ってしまうこともあると思いますが、自分の感覚だけで判断せず、十分な睡眠時間を確保することを意識してみてはいかがでしょうか。
【参考資料】
1. Uehli, K., et al. (2014). Sleep problems and work injuries: a systematic review and meta-analysis. Sleep Medicine Reviews, 18(1), 61–73.
2. Landrigan, C. P., et al. (2004). Effect of reducing interns' work hours on serious medical errors in intensive care units. New England Journal of Medicine, 351(18), 1838–1848.
3. Van Dongen, H. P. A., et al. (2003). The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep, 26(2), 117–126.
4. McHill, A. W., et al. (2019). Chronic sleep restriction greatly magnifies performance decrements immediately after awakening. Sleep, 42(5), zsz032.
5. Trotti, L. M. (2017). Waking up is the hardest thing I do all day: Sleep inertia and sleep drunkenness. Sleep Medicine Reviews, 35, 76–84.
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