障害者トライアル雇用とは?対象者や利用するメリットをわかりやすく解説
2026.09.24
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■はじめに
応募前は「自分に合っていそう」と思ったのに、
実際に働き始めると、
「思っていた仕事内容と違った」
「職場の雰囲気が自分には合わなかった」
と感じた経験はありませんか?
一度そのような経験をすると、「次は同じことを繰り返したくない」と考える方もいるのではないでしょうか?
そんなときに知っておきたい制度の一つが「障害者トライアル雇用」です。
この記事では、障害者トライアル雇用の仕組みや対象者、利用するメリットなどについて解説します。
■障害者トライアル雇用とは?
障害者トライアル雇用とは、障害のある方を一定期間試行的に雇用し、その後の継続雇用を目指す制度のことです。
「トライアル」という言葉から、職場体験や実習のようなものをイメージする方もいるかもしれません。
しかし、障害者トライアル雇用では、企業と雇用契約を結んで実際に働きます。トライアル期間が終了したあと、継続雇用へ移行するかどうかを企業と求職者の双方で確認します。
■障害者トライアル雇用の対象になる人
障害者トライアル雇用を利用するには、継続して働くことを希望し、制度を理解したうえでトライアル雇用を希望していることが条件です。
そのうえで、障害のある方のうち、次のいずれかに当てはまる方が主な対象になります。
・これまで就労経験のない職業への就職を希望している方
・紹介日前2年以内に、離職が2回以上、または転職が2回以上ある方
・紹介日前の離職期間が6か月を超えている方
・重度身体障害、重度知的障害、精神障害のいずれかがある方
障害者手帳を持っていない発達障害のある方なども、主治医の意見書などで障害が確認でき、その他の要件を満たす場合は対象になることがあります。
このほかにも、ハローワークなどへの求職申込みや、現在の就労状況などについて条件があります。自分が対象になるかわからない場合は、ハローワークなどで確認しましょう。
■トライアル雇用の期間と利用の流れ
障害者トライアル雇用を利用するには、ハローワークまたは対象となる民間の職業紹介事業者などから、トライアル雇用の求人の紹介を受ける必要があります。
求人に応募して採用が決まると、企業と雇用契約を結び、トライアル雇用が始まります。
障害者トライアル雇用の期間は原則3か月ですが、障害の種類や働き方などによって異なる場合があります。
・精神障害のある方:原則6か月以上12か月以内。本人と企業の合意により、3か月以上5か月以内とすることも可能
・精神障害のある方以外でテレワーク勤務をする場合:原則3か月以上6か月以内。本人と企業の合意により、1か月または2か月とすることも可能
・重度障害者を除く身体障害・知的障害のある方:本人と企業の合意により、1か月または2か月とすることも可能
このように、トライアル雇用の期間はすべての人が同じというわけではありません。実際に利用するときは、自分の場合はどのくらいの期間になるのかを事前に確認しておきましょう。
■障害者トライアル雇用を利用するメリット
障害者トライアル雇用では、応募前にはわからなかったことを、実際に働くことで確認できます。
厚生労働省の資料でも、求職者側のメリットとして、仕事への理解が深まることや、自分の適性、一緒に働く人、職場環境などを確認できることが紹介されています。
①実際の仕事内容や負担を確認できる
求人票には仕事内容が書かれていますが、実際にどのようなペースで仕事を進めるのか、どのくらいの負担がかかるのかまではわからないことがあります。
応募前には「できそう」と思っていた仕事でも、実際に働いてみると想像以上に疲れることもあります。反対に、不安に感じていた仕事でも、実際にやってみると思っていたより取り組みやすいこともあるでしょう。
実際に働くことで、その仕事が自分に合っているか、無理なく続けられそうかを確認できます。
②一緒に働く人や職場環境を知ることができる
長く働くためには、仕事内容だけでなく、周囲の人との関わり方や職場環境も大切です。
しかし、面接や職場見学などの短い時間だけでは、実際の職場の雰囲気や、どのように仕事の指示を受けるのか、周囲の人とどの程度やり取りするのかまではわからない場合があります。
実際に働くことで、こうした職場の様子を知り、自分が働きやすい環境かどうかを考えることができます。
③企業側にも自分の働き方を知ってもらえる
トライアル雇用では、求職者が仕事や職場について知るだけではなく、企業側も実際の働き方を確認できます。
たとえば、どのような仕事が得意なのか、どのような場面で困りやすいのか、どのような配慮があると働きやすいのかなどは、実際に一緒に働くことでわかることもあります。
働き始める前には必要な配慮を具体的に説明することが難しい場合でも、実際の仕事を通して、本人と企業が必要な配慮や働き方について確認していくことができます。
■トライアル雇用後は必ず継続して働ける?
障害者トライアル雇用は、その後の継続雇用を目指す制度ですが、トライアル期間が終われば必ず継続雇用されるわけではありません。厚生労働省の資料でも、継続雇用に移行しない場合があることが記載されています。
求職者自身も、実際に仕事を経験したうえで、
「この仕事内容なら続けられそうか」
「この職場でこれからも働きたいと思えるか」
「働き続けるために必要な配慮はあるか」
などを考えることができます。
継続雇用を目指しながら、求職者自身も、自分にとってこの仕事や職場が合っているのかを確認することが大切です。
■障害者短時間トライアル雇用とは?
精神障害または発達障害のある方には、「障害者短時間トライアル雇用」という制度もあります。
通常の障害者トライアル雇用では、週の所定労働時間は20時間以上です。
一方、障害者短時間トライアル雇用では、週10時間以上20時間未満から働き始め、職場への慣れ具合や体調などに応じて、トライアル期間中に週20時間以上働くことを目指します。期間は3か月以上12か月以内です。
「いきなり週20時間以上働き始めることには不安がある」という場合には、このような制度があることも知っておくとよいでしょう。
■こんな場合は、トライアル雇用も選択肢の一つ
以前の職場で「実際に働いてみたら思っていた仕事と違った」と感じた経験がある方や、応募前の情報だけでは自分に合った職場か判断しにくいと感じている方にとって、トライアル雇用は選択肢の一つになります。
ただし、トライアル雇用には対象となるための条件があります。利用を検討する場合は、自分が対象になるかをハローワークなどで確認しましょう。
■まとめ
障害者トライアル雇用は、一定期間実際に働くことで、求職者と企業がお互いについて理解を深め、その後の継続雇用を目指す制度です。
応募前の情報だけでは、仕事内容や職場環境についてわからないこともあります。実際に働いてみることで、自分に合った仕事内容なのか、働き続けやすい職場なのかを確認できます。
「次の就職では、実際の仕事や職場についてもう少し確認してから働きたい」と考えている方は、障害者トライアル雇用についてハローワークや支援機関などに相談してみるのも一つの方法です。
■参考資料
厚生労働省「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」
厚生労働省「障害者トライアル雇用事業実施要領(令和8年4月8日改正)」
厚生労働省「『障害者トライアル雇用』のご案内(求職者の方へ)」