休憩すると、集中力はどれくらい回復する?さまざまな研究結果からわかったこと
2026.10.16
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■はじめに
「集中力が落ちてきたと感じたら、休憩を取る」
もはや当たり前になっていることですが、いったい、休むことでどれくらい集中力が戻るのでしょうか?
10分休めば、仕事を始めたときと同じ状態に戻るのでしょうか?それとも、疲れが少し軽くなる程度なのでしょうか?
今回は、様々な研究から、休憩と人間の集中力の関係について解説していきます。
■短い時間の休憩でも集中力は回復するのか?
2014年、ニュージーランドのカンタベリー大学の心理学研究者であるRossらは、短い休憩によって、作業中に低下した注意力が回復するのかを調べました。
実験では、参加者に40分間、画面上の線の長さを見分ける課題に取り組んでもらい、途中で1分間の休憩を2回取る場合と、休憩せずに続ける場合などを比較しました。
その結果、1回目の休憩後には、低下していた注意力が持ち直しました。一方で、2回目の休憩では同じ改善は見られませんでした。
また、2021年には、アメリカの北イリノイ大学などの研究者であるConlinらが、40秒間の休憩について調べています。
199人を対象とした実験では、単調な作業の途中に40秒間の休憩を取ったグループは、休憩せずに作業を続けたグループよりも、作業成績がよくなりました。
さらに、2024年のDianitaらの研究でも、20秒間の休憩を挟むことで、回答時間が比較的安定し、作業の負担感が軽減するという結果が得られています。
これらの研究から、意外にも1分程度の短い休憩でも、注意力や作業成績が改善する場合があることがわかります。しかし、Ross の実験では2回目の休憩で効果が得られなかったように、必ず効果が得られるわけではないことは留意しておく必要があります。
■疲れが軽くなることと、集中力が戻ることは違う
2022年、ルーマニアのティミショアラ西大学の心理学研究者であるAlbulescuらは、10分以内の短い休憩が疲労感や作業成績に与える影響について、19件の論文、計2,335人のデータを統計的にまとめる「メタ分析」を行いました。
その結果、短い休憩によって疲労感が軽減されることは確認されましたが、作業の成績には明確な改善が見られませんでした。
つまり、休憩によって疲れが軽くなったからといって、作業の成績がよくなるとは限らないことがわかったのです。
また、2013年には、シンガポール国立大学の研究者であるLimらが、5分間の休憩によって注意力がどのように変化するのかを調べました。
実験では、31人の参加者に65分間、特定の音を聞き分けて反応する課題に取り組んでもらい、途中で5分間休憩する場合と、休憩せずに続ける場合を比較しました。
その結果、休憩後に成績が改善した人がいる一方で、低下した人もおり、その割合はおよそ半数ずつでした。つまり、全体としては休憩による反応時間の明確な改善は確認できなかったのです。
■長く休めば長く集中できるのか
休憩時間が長いほど、集中力も長く続くのでしょうか。
2016年、シンガポールの医科大学院などの研究者であるLimとKwokは、休憩時間の長さによって、その後の注意力にどのような違いが出るのかを調べました。
実験では、71人の参加者に約1時間、特定の音を聞き分けて反応する課題に取り組んでもらい、その途中に1分、5分、10分の休憩を設けて比較しました。
その結果、休憩時間が長いほど、作業を再開した直後の反応が速くなる傾向が見られました。しかし、長く休んだ場合ほど、その後は作業を続けるにつれて、反応が遅くなる速度も大きくなっていました。
つまり、休憩時間が長いほど、作業を再開した直後の集中力は回復するものの、その効果が長く続くとは限らないのです。そのため、長く休めばよいという単純な話ではないことがわかります。
■息抜きは効果があるのか?
休憩中にコーヒーを飲むなどして、息抜きをする方もいるでしょう。では、こうした息抜きは集中力の回復に役立つのでしょうか。
2015年、ニュージーランドのカンタベリー大学の研究者であるHeltonらは、作業の途中で別のことをする場合と、何もせずに休む場合で、注意力にどのような違いが出るのかを調べました。
実験では、参加者に画面の変化を見つける作業をしてもらい、途中で「何もせずに休む」「別の作業に取り組む」「休憩せずに同じ作業を続ける」という条件に分け、その後の注意力を比較しました。
その結果、何もせずに休んだグループが最もよい成績を収め、休憩せずに作業を続けたグループが最も悪い成績となりました。
■休憩するタイミングは決めた方がよい?
2023年、オランダのマーストリヒト大学の研究者であるBiwerらは、休憩を取るタイミングによって、集中力や疲労感に違いが出るのかを調べました。
実験では、87人の大学生を「24分勉強して6分休む」「12分勉強して3分休む」「好きなタイミングで休む」という3つのグループに分け、自主学習中の状態を比較しました。
その結果、時間を決めて休憩したグループは、自由に休憩したグループよりも疲労感が少なく、気が散りにくいと感じていました。また、集中できたという自己評価も高くなりましたが、学習課題をどれくらい達成できたかについては、グループ間に差が確認されませんでした。
■自分に合った休憩方法を見つけよう
ここまで紹介してきた研究から、短い休憩でも集中力が回復する場合がある一方、その効果には個人差があり、休憩時間が長ければよいというわけでもないことが分かりました。
では、結局どのように休憩するのがよいのでしょうか。
残念ながら、現在の研究では「何分休めば集中力が何%回復する」といった具体的な数値や、誰にでも効果がある休憩方法は明らかになっていません。
だからこそ、大切なのは、自分に合った休憩方法を見つけることではないでしょうか。
休憩の効果は、取り組んでいる仕事やそのときの状態によっても変わる可能性があります。そのため、一つの方法にこだわらず、休憩の長さや過ごし方を変えながら、自分にとって効果的な方法を探してみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
1. Ross, H. A., et al.(2014)「Effects of breaks and goal switches on the vigilance decrement」Experimental Brain Research
2. Conlin, A., et al.(2021)「Comparing Relaxation Versus Mastery Microbreak Activity: A Within-Task Recovery Perspective」Psychological Reports
3. Dianita, O., et al.(2024)「Systematic micro-breaks affect concentration during cognitive comparison tasks: quantitative and qualitative measurements」Advances in Computational Intelligence
4. Albulescu, P., et al.(2022)「“Give me a break!” A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks for increasing well-being and performance」PLOS ONE
5. Lim, J., et al.(2013)「EEG alpha activity is associated with individual differences in post-break improvement」NeuroImage
6. Lim, J., & Kwok, K.(2016)「The Effects of Varying Break Length on Attention and Time on Task」Human Factors
7. Helton, W. S., & Russell, P. N.(2015)「Rest is best: The role of rest and task interruptions on vigilance」Cognition
8. Biwer, F., et al.(2023)「Understanding effort regulation: Comparing ‘Pomodoro’ breaks and self-regulated breaks」British Journal of Educational Psychology
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