就労するときに意識する「課題」と必要な「配慮」を考える
2024.07.31
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- ハンズ姫路
ハンズでは、利用者さんの長期就労に向けて細かいサービスを提供するために、利用者さん一人ひとりに、担当支援員をつけさせていただいております。
今回は、ハンズ姫路の支援員が、色々な利用者さんたちを一般企業に送り出した経験から感じたことを、下記の順番でお伝えしていきます。
1.面談でのおはなし
2.一般企業で働くために
3.「課題」か「配慮」か
4.配慮いただいた事例
5.最後に
以前、体験実習でお越しいただいた方のお話を少し。
その方は、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)いわゆるHSPの傾向があり、特に外部からの刺激に敏感な気質を持った方でした。
日常生活ではサングラスやノイズカットの耳栓を利用され、光や音に対して対策されています。
体験を受けていただく前の面談で、「普段はサングラスや耳栓をしているのですが、耳栓は使わない方が良いですか?」という質問を受けました。
ご本人は体験実習なので、頼るものを減らして頑張ろうという意気込みから、そのような質問をされたのだと思いますが、「不安なく訓練を受けてもらうため、耳栓やサングラスは通常通り使用してください」とお伝えしました。
私は、
・ご自身が訓練など経験を積むことで変化を受け入れることが可能な部分⇒「課題」
・ご自身の力だけでは解決が難しいので、周囲(企業など)の協力を得ることで解決することが可能な部分⇒「配慮」
という考えも持ちながら支援をさせていただいております。
「1.面談でのおはなし」で面談いただいた方は、「耳栓を利用すること」を⇒「課題」ととらえて「使わない方が良いですか?」という言葉が出てきたのかもしれませんが、私たちは「配慮」であると考えたので、耳栓やサングラスは通常通り使用いただくようにお伝えしました。
この例のように、「課題」と「配慮」の仕分けは、働いていく上でとても大切です。
そして、この「課題」と「配慮」のとらえ方が、以前(昔)と比べて変わってきているのではと考えています。
法定雇用率が引き上げになった影響もあり、企業の間でも、障がいのある方の雇用、いわゆる「障害者雇用」を促進する企業が増加傾向にあります。
最近では、直接、私共ハンズ姫路に連絡をいただいて、訓練室に足を運ばれ、「障がいのある方々に安心して長く働いてもらうためには、どのような準備をすればよいですか?」と相談に来られる熱心な企業関係者もいらっしゃいます!
また以前であれば、本人が取り組むべき「課題」と言われがちだった体力面やコミュニケーション面などの部分も、企業側が「配慮」するように変化してきているように思います。
私たち支援員も、就職活動の場で「このような配慮が可能か」と企業側にお聞きすると、意外とすんなり受け入れられるようになってきており、感謝することがあります。
合理的配慮が義務化となった背景もあるかもしれませんが、一昔前よりも配慮のある環境で働く機会が増えてきているのではないでしょうか。
これらの外的要因も踏まえた上で、限られた期間(2年間)の間に、「課題」と「配慮」を切り分けて優先順位をつけて取り組むことが大事になってくる、ということですね。
ハンズ姫路でも、支援員と共に自己理解を深めるなど、長期就労に向けたサポートをさせていただいています。
プログラムや面談を通して、自分に必要な「課題」と「配慮」をともに見極めていきましょう。
ここで、企業の方から配慮をいただいた事例を少しご紹介いたします。
事務の仕事を希望されていたAさん。主に入力作業がメインになってくる仕事に採用されました。周囲で大きな声で会話をされたり、気になる物音がすると集中力が継続できない。特に、自分の後ろを人が頻繁に行き来されたりすると気になってしまう。
⇒今まで倉庫として使っていた部屋を作業場として提供していただき、静かな環境で作業できるようになりました
【補足】面接や実習においてAさんの仕事への姿勢が高く評価されていたこと、支援員がご本人の困りごとを明確に企業側に伝えたことも背景にあったかと思います。
社会経験が無いので「何か月、何年も長期にわたって働いてお金を稼ぐことが継続できるのだろうか?」と、不安が大きい。
⇒ハローワークに表記されていた就労条件とは違い、最初は週3日4~5時間という条件で採用いただきました
【補足】面接後に実習を受けて、ご本人の人柄が評価され、将来の戦力として成長してもらえることを考えて…ということがありました。少しずつ不安も解消され、就労半年ほどで週4~5日、一日5時間以上の勤務となり、活躍されています。
苦手な人ができてしまったことで、仕事への集中力が継続できなくなってしまった。
⇒「苦手な方」と極力顔を合わせないフロアで、仕事内容の変更はなく雇用を継続いただきました
【補足】困りごとを発信できないCさんに、ハンズ姫路の支援員が聞き取りを行い、それを企業の方に伝える形で実現しました。
というように、「ご本人+企業担当者様+ハンズ姫路支援員」と連携することで、長期就労を目指しての様々な取り組みがされています!
社会の理解も進み、障がいのある方も一昔前よりも働きやすくなってきたことをご紹介しました。誰にでも苦手なことや不得意なことがありますが、その分、別の得意なことを活かしたり、力を発揮したりして、お互いに良い関係を築きながら働けたら良いですね。
世の中の変化は日に日に早くなってきています。私たちの使命として、これからも障がい者雇用の雇用環境や条件をより良いものにしていきたいと日々取り組んでおります。
働くことに困ったらいつでもハンズにご相談くださいね。
今回は、ハンズ姫路の支援員が、色々な利用者さんたちを一般企業に送り出した経験から感じたことを、下記の順番でお伝えしていきます。
1.面談でのおはなし
2.一般企業で働くために
3.「課題」か「配慮」か
4.配慮いただいた事例
5.最後に
1.面談でのおはなし
以前、体験実習でお越しいただいた方のお話を少し。
その方は、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)いわゆるHSPの傾向があり、特に外部からの刺激に敏感な気質を持った方でした。
日常生活ではサングラスやノイズカットの耳栓を利用され、光や音に対して対策されています。
体験を受けていただく前の面談で、「普段はサングラスや耳栓をしているのですが、耳栓は使わない方が良いですか?」という質問を受けました。
ご本人は体験実習なので、頼るものを減らして頑張ろうという意気込みから、そのような質問をされたのだと思いますが、「不安なく訓練を受けてもらうため、耳栓やサングラスは通常通り使用してください」とお伝えしました。
2.一般企業で働くために
私は、
・ご自身が訓練など経験を積むことで変化を受け入れることが可能な部分⇒「課題」
・ご自身の力だけでは解決が難しいので、周囲(企業など)の協力を得ることで解決することが可能な部分⇒「配慮」
という考えも持ちながら支援をさせていただいております。
「1.面談でのおはなし」で面談いただいた方は、「耳栓を利用すること」を⇒「課題」ととらえて「使わない方が良いですか?」という言葉が出てきたのかもしれませんが、私たちは「配慮」であると考えたので、耳栓やサングラスは通常通り使用いただくようにお伝えしました。
この例のように、「課題」と「配慮」の仕分けは、働いていく上でとても大切です。
そして、この「課題」と「配慮」のとらえ方が、以前(昔)と比べて変わってきているのではと考えています。
3.「課題」か「配慮」か
法定雇用率が引き上げになった影響もあり、企業の間でも、障がいのある方の雇用、いわゆる「障害者雇用」を促進する企業が増加傾向にあります。
最近では、直接、私共ハンズ姫路に連絡をいただいて、訓練室に足を運ばれ、「障がいのある方々に安心して長く働いてもらうためには、どのような準備をすればよいですか?」と相談に来られる熱心な企業関係者もいらっしゃいます!
また以前であれば、本人が取り組むべき「課題」と言われがちだった体力面やコミュニケーション面などの部分も、企業側が「配慮」するように変化してきているように思います。
私たち支援員も、就職活動の場で「このような配慮が可能か」と企業側にお聞きすると、意外とすんなり受け入れられるようになってきており、感謝することがあります。
合理的配慮が義務化となった背景もあるかもしれませんが、一昔前よりも配慮のある環境で働く機会が増えてきているのではないでしょうか。
これらの外的要因も踏まえた上で、限られた期間(2年間)の間に、「課題」と「配慮」を切り分けて優先順位をつけて取り組むことが大事になってくる、ということですね。
ハンズ姫路でも、支援員と共に自己理解を深めるなど、長期就労に向けたサポートをさせていただいています。
プログラムや面談を通して、自分に必要な「課題」と「配慮」をともに見極めていきましょう。
4.配慮いただいた事例
ここで、企業の方から配慮をいただいた事例を少しご紹介いたします。
①事務・事務補助で就職を考えていたAさん
事務の仕事を希望されていたAさん。主に入力作業がメインになってくる仕事に採用されました。周囲で大きな声で会話をされたり、気になる物音がすると集中力が継続できない。特に、自分の後ろを人が頻繁に行き来されたりすると気になってしまう。
⇒今まで倉庫として使っていた部屋を作業場として提供していただき、静かな環境で作業できるようになりました
【補足】面接や実習においてAさんの仕事への姿勢が高く評価されていたこと、支援員がご本人の困りごとを明確に企業側に伝えたことも背景にあったかと思います。
②高等学校卒業後すぐにハンズを利用いただいたBさん
社会経験が無いので「何か月、何年も長期にわたって働いてお金を稼ぐことが継続できるのだろうか?」と、不安が大きい。
⇒ハローワークに表記されていた就労条件とは違い、最初は週3日4~5時間という条件で採用いただきました
【補足】面接後に実習を受けて、ご本人の人柄が評価され、将来の戦力として成長してもらえることを考えて…ということがありました。少しずつ不安も解消され、就労半年ほどで週4~5日、一日5時間以上の勤務となり、活躍されています。
③勤務中に苦手な人ができてしまったCさん
苦手な人ができてしまったことで、仕事への集中力が継続できなくなってしまった。
⇒「苦手な方」と極力顔を合わせないフロアで、仕事内容の変更はなく雇用を継続いただきました
【補足】困りごとを発信できないCさんに、ハンズ姫路の支援員が聞き取りを行い、それを企業の方に伝える形で実現しました。
というように、「ご本人+企業担当者様+ハンズ姫路支援員」と連携することで、長期就労を目指しての様々な取り組みがされています!
5.最後に
社会の理解も進み、障がいのある方も一昔前よりも働きやすくなってきたことをご紹介しました。誰にでも苦手なことや不得意なことがありますが、その分、別の得意なことを活かしたり、力を発揮したりして、お互いに良い関係を築きながら働けたら良いですね。
世の中の変化は日に日に早くなってきています。私たちの使命として、これからも障がい者雇用の雇用環境や条件をより良いものにしていきたいと日々取り組んでおります。
働くことに困ったらいつでもハンズにご相談くださいね。